”ないもの”つくります

”ないもの”つくります

四万十ヒノキ

ヒノキのおはなし

始めに

お客様が今手にして下さった「レールシェルフ ヒノキ」の棚板の素材であるヒノキは、四万十川の中流域の山で育ちました。皆様の手に渡るまで、20年も30年も掛けて育ってきたのです。山を守るというのは大変な仕事なのですね、1m級の板が取れるような木が育つには、100年という歳月が必要だそうです。

ですから、その山を守っている人達は、100年という単位で計画を立てています。どの辺りにいつ苗木を植えるのか、どの辺りの木を間引いて日当たりと風通しを良くするのか、どの辺りのどんな木をどれくらい切って使っていくのか・・・。

そんな大きな木を育てるために間引かれる木も、20~30年の歳月をかけて育てられています。昔はそれをただ捨てるしかなかったそうですが、幸い今は技術が進んで、集成材という形にして使っていく事ができる様になりました。それがこの棚板になっています。

ヒノキの歴史を見る

その山を育てて守っている集成材工場の竹内さん(当時)がおっしゃるには、木はその年輪を見ただけで、育ってきた歴史が分かるそうです。

育ったのは山の南側なのか北側なのか、どんな場所だったのか。台風や雪や風の害にいつ遭ったのか、枝はいつ払ったのか・・・

そんなことまで分かるそうです。

この写真の木は、上部の黒い所はぽこぽこで使えません。

傷のある部分を巻くように木が育っています。

こうしてその木の特徴をよく知った上で、その各部分をどう生かして使っていくのかを決めるそうです。

山を守る

その山を見てきました。この写真の山は伐採後50年経ってやっとこんな綺麗になりました。

草や色々な木が生え、山は光と風が通っています。

水も綺麗になるので、日本最後の清流と呼ばれる四万十川もまた山と共に守られているのです。
伐採した木をおろすのに、また色々気を使い工夫を重ねます。

まず道を造らなくてはいけません。

その道が山を傷つけたり川を汚したりしない様にはもちろんのこと、防火の事も考えて道を造ります。
木の事だけではなく、草やこけやシダの事まで考えに入れます。

貯木場について

山からおろした木はこのような貯木場に集められます。

等級や大きさによってまとめて山ができています。スケールの大きさが分かりますでしょう?

私達が使う、棚板になる木もこのように丁寧に時間をかけて乾かしてもらっています。
こうすると美しいピンク色になるのです。

久宝金属の棚板

久宝金属が使っている棚板について説明しましょう。

この写真で分かる通り、アルミとヒノキをはめ合った部分に段差ができないよう少し削ってもらいます。これで棚部分がフラットになったので、CD等を立てて頂くのにストレスがありません。

柔らかなカーブは、お使いいただく時の「なじみよさ」のためです。

塗料だけではなく、集成材を作るための接着剤も4☆、つまりシックハウス対応の物を使っています。このように心を砕いて作業をしてもらっています。

また、この表面は赤ちゃんがなめても大丈夫な塗料を使って、家具の様に二度塗りをしてもらっています。一度塗って磨いてまた塗るという作業です。

私がどうしてもこの工場の板を使いたかった理由が他にもあります。
それは、接着した集成材を乾かすのに、工場内で出た木片や木屑を燃やしたボイラーの熱を使っているという事です。つまり石油や石炭のような化石燃料を、私達の世代で使い尽くすようなことがないよう、次の世代により良い環境を残していけるよう、この工場では平成元年から自社で循環するようなシステムを作り上げているのです。もう20年以上も前からです。今は木を切るときのチェーンソーのオイルも自然派の物を使っています。

100年の計画を立てて山を守るというのは、ただ山に関する事にとどまらず、そのような細やかな心配りでありとあらゆる活動をし、ものづくりをしていく事なのですね。山を守るにはそうして作られた製品が理解され支持され、売れていかなくてはなりません。

皆様がお買い上げくださった事はこうして、この美しい山を守っていく為に大きな力になっています。
感謝と共に、このレポートをお届け致します。

TED 川添光代

戻る