”ないもの”つくります

”ないもの”つくります

第二集 大正町森林組合 竹内さん・田村さん

大正町森林組合の竹内さん・田村さんにインタビューしました。

これまで努力されてきたこと、森林認証のこと、人を育てる事と経済が回ることを考える大切さなどを語って頂きました。

ただ素材として提供するだけではなく付加価値をつけたいと思った

川添:大正町森林組合は 若い人も元気に働いていますし、全国的に大変精力的に活動している印象ですが、ここまでの皆さんの努力についてお話しいただけますか?

竹内さん:森は ずっと丁寧に手を入れられていたのですが、木には未使用の部分があり それを何とか使えないものだろうかと言う事でこの集成材工場が作られたのです。
今までは建材にならない2m以下のものは森に放置されていました。

それを使っていくにあたって、ただ素材として提供するだけではなく 付加価値をつけたいと思ったのです。
それで、ユーザーの求めるものを 基本的にオーダーメードで 作るという流れを作ってきました。

その場合、メンテナンスなどのフォローが出来ないといけないのですが、木製品のメンテナンスはまだまだ出来ていない所が多いと思います。私たちは最終まで作っているので自社でメンテナンスが出来るのです。

川添:今では 他の森林組合の材を使ったものづくりの支援もしていらっしゃるそうですね?

竹内さん:今東京の森林組合に月の半分、アドバイザーとして入っています。
東京と高知の材を使って東京都のマーケットに売っていきます。
他の森林組合とのネットワークも大切にしています。また、異業種ともネットワークを作っていっていますよ。
自分たちのものだけを売るというのは今の時代に合わないと考えています。

四万十川の上流から下流までのやる気のある森林組合と「四万十ヒノキ」ブランドを商標登録する動きもあります。
海外にも進出したい、そのためにはしっかりした木材の出方をしないといけないのです。

森林認証の目的は違法伐採を無くすこと

川添:森林認証について 少し教えていただけますか?

田村さん:コレは世界的な制度で違法伐採を無くすのが目的です。
10の原則がありそれを全て守らないといけません。

例えば、計画的に伐採する事、これが一番です。
或いはもし原住民が居たらその生活を守らないと行けないとか、貴重な生物や植物を守るとか、野鳥ゾーンを守ると言うのもあります。
木を切るときのチェーンソーのオイルは鉱物性のものはダメです。
作業衣服も怪我をしないものを付けないといけません。
一番肝心なのは 出所がはっきりした木材と言う事です。

森を守ろうと思ったら、人を育てる事と経済が回る事を考えないといけない

川添:以前おっしゃっていらした言葉が印象的でした。
森を守ろうと思ったら人を育てる事と経済が回る事を考えないといけないと。確かに、森や工場で働いている若人がとても多いし、皆さん元気で楽しそうだし、誇りを持っていらっしゃるように感じました。

竹内さん:木材の伐採搬出をすると言うだけでも プロになるのに5年は掛かります。それだけの教育機関を設けるというのは 相当な投資力がないと出来ません。
森を計画的に整備して行こうと思ったら、人を雇って育てていく事も計画にしないといけない。事故がない安全な職場環境を作るのも大切だし機械を入れていく事もしていかないといけない。

川添:町でも 他地域からの子供たちの受け入れや、町ぐるみでのアルバイトの就労支援など 実際の仕事を通じて育てる事もしていますね。

竹内さん:地元に元々あった県立高校の林業科が 環境コースになって 北海道から九州沖縄まで、全国からの子供たちを受け入れています。
地元に養子に入った子も居ますよ。町も県もバックアップしてくれています。

森林組合が久宝金属に求めていることーーー
それは、柔軟な発想をし、形にしていけること

川添:そうした他にない試みにもとても積極的だと思いますが、一方で伝統的な事も とても大事になさっていますね? 自分たちを変えてでも新しい事を取り入れていく事と伝統を守っていく事の両方のバランスがとても良いと感じます。

竹内さん:木材を伐採する日は 旧暦で決まっています。それは必ず守ります。
50年生の木でも100年持つように、100年生は300年持つようにと思っています。乾燥技術がどんなに発達しても それは大切にしています。

木材を丁寧にしっかり乾燥させていないと24時間空調しているようなビルでは持たなくなります。天日乾燥を一週間、そして機械乾燥で含水率を8%以下にまで落としています。薄い5mmの板でも割れたり反ったりしませんよ。

川添:循環型で環境を守り森を育て、若い人を育て、経済的にも上手く回るようにしています。
ネットワークも色々有るし、どんどん大きくなっていく森林組合ですが 私達久宝金属に求めていらっしゃるものは?

竹内さん:我々にない発想で提案頂いて 形にしていけるという所ですね。
また、アルミと木を組み合わせて、強くて軽いものを作りたい。機能的にも上がると思うし、デザイン的にも使い易いと思います。ずっとこだわっているデスクを作りたいです。子供から大人まで使えるもの。小学生から大学生になってもずっと使えるもの。我々には思いつけないのでそこをお願いしたいんです。

これからは、良いものを長く使えるという思想を持つことが大切

川添:なかなか 厳しい宿題になりましたね!
子供を4人育ててきた人間として四季があり美しく豊かな日本の自然を大切にして 次の世代に手渡ししていきたいのです。林業はまだまだ資源として使い切れていませんよね。上手く使って行く事が地域を活性化しますしね。
ずっと愛着を持って使えるデスクというテーマは私達も取り組みたいと思っています。良いものを長く使えるという思想がこれからは大切なのでそれを形にしていきたいのです。数年掛かりになるかも知れませんが、是非とも実現したいですね。

私達も出来る事を精一杯して日本の林業、森を守って行けるようにしたいと思います。これからもよろしくお願いします。

 
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